ヘッセの「知と愛」を再読。
10代の頃に読んで、
まったくピンと来なかった。
そろそろな気がしていた。


読み返してみて非常におもしろかった。
修道院で知り合った二人の青年が、
それぞれの道を辿り、もう一度出会う物語。
主人公がさすらうロードムービーのようでもある。


以前は、そのさすらいの感じがどうにも掴めなくて、
なんとなく文字を追っていたような気がする。
だが、そういった生き方のつらさとむなしさも、
今回はすごく伝わってきた。


二人の再会も、友好のぎこちなさもよろしい。
一生涯の時間について、また考えた。
デミアン」を読んでいないので今度読みたい。


ちょっとまえまで、
熱烈な舞城王太郎ブームで、
「舞城→ビジネスとかなんか役に立ちそうなかんじの本→舞城」
という、どうしたいのか全く分からない読み方をしていた。
たまにはきちんとした本を再読するのも良い。


再読というと、世の中は太宰ブームらしく、
周辺の人たちがいろいろ書いていたので少し考えた。
太宰はもちろん好きで中学生のころからよく読んでいたし、
再読も何度したか分からない。


滅びの美学もユーモアセンスも絶妙だと思うのだが、
わたしは言葉の響きが好きで、
一行読んで止まったりを繰り返していた。
わたしの中で、太宰の一番好きなところは、
やっぱり言葉の力だなぁと思う。


ところで、今日マイケルが亡くなったのには驚いて、
同時にカート・コバーンが亡くなったときの、
まったく妙な感覚を繰り返し思い出してしまった。
たしか、あの頃に「知と愛」を読んだんだ。